ちょうど1年前の今頃は、誇張なく一日中Sexy Zoneのことを考えていた。他グループのライブに行ってもすべての言動にSexy Zoneを見出だす程度には、彼らと彼らの作り上げるライブに夢中だった。
ChapterⅡドーム初日のTimelessで泣いていた風磨に「風磨って私たちが思ってたよりマリウスに未練タラタラだね笑」なんて冗談を言い合ったり、ことあるごとにふまけん背中合わせの話をしたり。ハイライトのオーラスで「一生とは言わない、あと少しだけ、10年20年30年僕らと一緒に夢を見てくれませんか?」と祈るように言った風磨が、ChapterⅡで語った「永遠なんてないかもしれないけど、永遠を信じられる僕たちでいたい」という言葉をただただ素直に受け取って、彼らから享受する幸福が永遠だと信じて疑わなかった。こんな私を、愚かだと笑うだろうか。
我ながら嫌になるくらい、あの日のことをよく覚えている。FCメールを受け取って、新グループ名だ!と胸を高鳴らせながら開いた画面に映っていたのは、パリッとした服に身を包み、晴れやかな顔でハキハキと未来を語るケンティーと、暗い表情の3人の姿。ほんの2週間前に永遠を信じた彼らは、どこにもいない。ケンティーの話す内容が全く飲み込めないまま、フォロワーと通話を繋いで、きっとあの日散々言われ尽くしたであろうことを明け方まで語り続け、結局一睡もできずに朝を迎えた。
Sexy Zoneに天下を取ってほしかった。
それは、2020年1月のドッキリGP以降飛ぶ鳥を落とす勢いでスターダムを駆け上がり、単体のジャニタレとしては他に類を見ないほど売れている風磨が、切実なほど力強くグループで売れたいと言っているから? 5大ドームツアーを、いつかは国立競技場でライブを、とSexy Zoneが夢を語るから? どれも間違いではないけど、正解とするには少し足りない。
流行するタレントは、その時代の世相を反映していると思っている。"誰かをバカにする笑い"がウケなくなり、お笑い第7世代が台頭したことはわかりやすい例だろうか。
別にSexy Zoneに国民的アイドルとして社会を変えてほしかったわけじゃない。Sexy Zoneの言葉を大切にしているところ、言葉を尽くしてくれるところが大好きで、彼らが天下を取るような世界は、きっと今より生きやすくて優しい世界だと思うから、その時代を生きてみたかったのだ。
天下なんて取らなくていい、人気になっても程よくライブに当たるくらいがいい、とかバカなことを言いながら、Sexy Zoneが国民的アイドルになる前にケンティーが脱退したことを悔しがるだなんて、浅はかでワガママでどうしようもない。
Sexy Zoneに天下を取ってほしかった。
ChapterⅡのドーム公演で、きっと彼らはどこへでも行けると思ってしまった。ドラマや舞台、バラエティーで4人がそれぞれ知名度を上げているタイミングで、未来のために12年間慣れ親しんだグループ名とお別れして、国民的アイドルへのピースは全て揃っていると、あとは運とタイミングさえ巡ってくるのを待つだけだと。私が根拠もなく確信しているとき、Sexy Zoneは天下を取るどころかひとつひとつ4人最後の◯◯を終えていたという乖離が、1年経った今でも新鮮に悲しくて苦しい。5人で、4人で国民的アイドルになる以外の夢なんて、どうか見ないでほしかった。
だからtimelesz projectが発表されたとき、私の感情は衝撃と歓喜に包まれていた。中島健人という大きすぎる存在を失ってなお、3人は天下を取ることを諦めていない。1/8からずっと薄暗い水底に沈んでしまったような気持ちが、すーっと晴れていくのを感じた。
King & Princeが平野紫耀のグループだったように、Sexy Zoneは中島健人のグループだったと思う。れんかいが今のKing & Princeとファンの幸せであたたかな関係を築けたのは、間違いなく言葉を尽くして行動で示したれんかいの努力の賜物だけど、同じことをSexy Zoneにできるかと言われると、答えはNOだろう。悲しきかな、King & PrinceとSexy Zoneでは持てる資本力が段違いで、timeleszがオリメンの3人だけで活動していっても、正直先細りの未来しか見えない。ただ26~29歳の彼らは、アイドルとして決して若くはないけれど、ゆるやかな自殺を選ぶには若すぎる。
本当は、Sexy Zoneに5人で天下を取ってほしかった。あと少し、ほんの10年20年30年だけ、彼らと一緒に夢を見ていたかったし、ありもしない永遠を信じていたかった。Sexy Zoneのことが、世界で一番大好きだった。
でも世界で一番大好き"だった"人たちと夢を追うことはもうできないから、代わりに、今はtimeleszの夢を応援したいと思っている。オーディションの結果が全然納得いかないかもしれないし、またあの日みたいに「こんな思いするなら好きにならなきゃよかった」と泣くことになるかもしれない。それでも、最初で最後の3人のツアーで「大丈夫です、絶対上手くいきます」と言い続けた風磨へ、もう一度バカみたいに大きな夢を託してみたい。
どうかタイプロがこのまま大成功して、timeleszが夢を掴めますように。
叶うことなら、これからも菊池風磨とtimeleszが私にとって世界一のアイドルであり続けますように。具体的に言うと、前田大翔と篠塚大輝がエアコンの設定温度で揉めたり、一橋大学篠塚とeverything毎日猪俣の会話噛み合わないシンメとか、そういうささやかな幸せが、優しくて強いふましょりそうの3人と、timeleszの幸せな空間を彩ってくれることを、切に願っている。